こんにちは。Kunkaです。ドイツ東部のロイタースドルフ出身、日本にやってきてもうすぐ3年のペトラが、今いちばん大切に考えているのは3人の子どもたちのこと。異国で暮らすハンディに気を配りながら、日本にいるからこそできる体験も十分にと願っていま
す。手を掛けるべきところでは決して手を抜かないペトラ、自由になる時間があまりないことからクラスの数もそう多くはないのですが、「大切なところはしっかりと目を配る」ポリシーは、子育てだけでなく料理の場面でも徹底しています

 今回のクラスのメニューは、ネギのスープ、豚ヒレソテーのクリームソース、ポテトとインゲンの付け合わせ、デザートのチーズケーキ、そしておなじみのドイツふうミックスブレッドです。



第二十五回 「あっさりやさしいドイツの家庭料理」  

 

 ペトラの料理の大きな特徴の一つが、日本の普通の食卓に登る食材を使って、ドイツの手料理を再現できるという点。今回のネギのスープも、日本の台所に普通にある長ネギをたっぷりと使ったもの。長ネギを鍋に入るぐらいの長さに切り
、ひたひたの水で柔らかくなるまで茹でたものをフードプロセッサーにかけ、なめらかなピュレにしてからベジタブルブイヨン、こしょう、生クリームで味つけします。最初の水を多くしすぎないようにすることがポイント。長ネギの青い部分も残さず使うところが、さすがはエコロジーの国ドイツの方法です。

 ところでエコロジーと言えば、ドイツのキッチンでは、皿洗い機を使わずに食器を洗う時、すすぎの水をほんの少し、チョロチョロとやっとつながって流れるくらいしか出さないという家が多いのだそうです。ドイツの家庭にホームステイして家事を手伝うと、日本人があまり勢いよく水を流すので驚くドイツ人が珍しくないのだとか。それでほんとにすすげているの?と心配になってしまいますが、ドイツでは当然の心掛けなのだそうです。

 ちょっと話がそれましたが、今回のこのスープ、ベジタブルブイヨンを除けばポピュラーな材料ばかりで、しかもこれもほかのブイヨンで代用できるとあって、ほんとに異国の料理?と思えるほど。でも、ペトラがあえて日本人むけにアレンジしたわけではなく、本国ドイツでも長ネギと非常に近いタイプのネギがあるので、それを使って同じように作っているのだそう。

 しかし材料はおなじみでも、味わいはしっかりヨーロッパふう。とはいっても決して重たくない、食べ飽きないことを大切にする家庭料理の味です。ちなみにドイツでは、長ネギは生で食べることは少なく、こうして煮込んで食べるのこと
が多いのだそうです。驚くほどたくさんのネギが、スープのとろみに生まれ変わる、ヘルシーテイストのドイツ料理です。
 このスープと同様に、身近な材料で手軽に作れるのが、今回のメイン料理のポークソテー。ヒレ肉に塩をしてソテーし、こしょうとニンニク、たまねぎを加えて煮込みます。肉汁に小麦粉を加えて適度なとろみをつけたら、スープの素を加
え、最後に生クリームを加えて出来上がり。フライパン一つで比較的短時間でできる手軽なメインディッシュで、ポイントとなるソースの濃度に気を配れば失敗なくできそうです。

 ドイツのポーク料理というと、脂身のしっかり入った部位をビールなどで煮込む濃厚な料理が代表的ですが、ペトラの料理はそれとはまったく違う、見た目も味も上品であっさりしたもの。これはペトラ自身の嗜好ももちろんですが、脂肪
の多い部位を摂りすぎないようにという健康への配慮と、何より長々と時間をかけずにおいしい手料理を家族に食べさせたいという、彼女の愛情のこめられた選択でもあるのです。
 このメイン料理に添えて出されるのが、インゲンと、そしておなじみのポテト。見た目は湿っぽい粉ふきイモという感じなのに、食べてみるとほのかな塩味がじゃがいもの甘みを引き立てる、驚きのおいしさ。適度にしっとりしているので喉につかえる感じも皆無、さすがポテトの国のポテト料理と感心してしまう一品です。ここではじゃがいもの皮をきれいにむき、芽をしっかりくりぬくことが大切なのだそう。

 そして、このメニューに加えさらに添えられるパンまで手作り。今回はミッシュブロートという、ドイツで最もポピュラーなパンの一つであるライ麦入りパンを教わりました。一つのボールで材料を混ぜ、クリスマス菓子のシュトレンのようなローフ型に成型してオーブンに入れます。この形も、できるだけ時間をかけずに焼き上げたいというペトラのポリシーから生まれたもの。コロンとした楕円形が何とも言えずかわいらしいパンとなりました。ペトラの得意なチーズケーキも加わり、今回のメニューは完成です。

 実はこの日、前の日からの強い腰痛に悩まされていたペトラ、立っても座ってもつらい状態の中で、限られた機会だからとあえてクラスを実施してくれました。参加者の一人Tさんがマッサージの心得があったことから、クラス終了後は急遽ペトラの腰痛ケアの時間に。愛する家族のために毎日心を配り、時間が取れる限りこうしてクラスを持って、母国の味をわかりやすく教えてくれるペトラに、感謝の気持ちでいっぱいになったひとときでした。

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本日のレシピ (レシピ:Kunka*Niki)

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料理は全て6人分の量です。

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◆ドイツ人のポテト
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塩を最初に入れると砂糖を入れていないのにホクホク甘くなります。簡単なレシピなのに、いままでにない味に。この味はちょっぴり感動!

※材料
男爵じゃがいも8-10個

※作り方
1)じゃがいもの皮をむき、乱切にします。
2)鍋にじゃがいもを入れ、塩大さじ3を振り、少なめの水(ふかす程度の量)を加えフタをして弱火で20分煮ます。
*途中焦げ目がでいないようチェックをして足りないようなら水を足して下さい。


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◆リーククリームスープ Lauchcremesuppe
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ドイツでは私達と同じタイプの長ネギを料理に使います。中華や薬味といった印象の長ネギがドイツではコクと旨味のあるスープに変わります。

※材料
長ネギ(通常の日本のネギ)10本
野菜ブイヨン(又はコンソメ)で作ったスープ500CC
胡椒
生クリーム 100ml

※作り方
1)長ネギはザク切にする。
2)鍋に50CC位の少量の水と長ネギを加え蓋をして弱火で約20分煮込みます。


3)2)の長ネギ、野菜ブイヨンで作ったスープ500CC、生クリーム、胡椒をミキサーにいれピューレ状にします
4)再び鍋で煮ます。塩が必要なら塩を入れて下さい(使うブイヨンの素により塩の入っているタイプとないタイプがあるので調整してください)
*途中鍋が焦げつかないようチェックをして足りないようなら水を足して下さい。

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◆ポークロイン

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優しい味に仕上がります。

※材料
豚ヒレ肉2本(約1キロ)
にんにく2個
たまねぎ輪切1個分
塩、胡椒
コーンスターチ
生クリーム 50ml
スープの素1個
大豆油大さじ1

※作り方
1)豚ヒレ肉に塩をすりこむ
2)熱したフライパンに大豆油を大さじ1ひき、ポークヒレ2本を焼きます。



3)ポークヒレ2本の表面に焼色が付いたら、少量の水(80CC位)、タマネギ、ニンニクを入れ蓋をして弱火で25分煮込みます



*フライパンで煮込む事により、野菜やお肉から自然に水が出ます
*途中焦げ目がでいないようチェックをして足りないようなら水を足して下さい。
4)スープにとろみをつける為、コーンスターチを振るいながら加えます。さらに水50CC、生クリーム1カップ、野菜ブイヨン又はチキンでもビーフでも好みの固形スープの素1個を加え混ぜ合わせます。





5)肉は食べやすいサイズにスライスしてからお皿に盛ります。

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◆インゲンの付け合わせ

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※材料
インゲン2パック
ベーコン100g
タマネギ2個
塩、胡椒
にんにく1個
オリーブオイル

※作り方
1)タマネギをスライスします。
2)ニンニクとベーコンをみじん切りにします
3)フライパンにオリーブオイルを入れ、たまねぎ、ニンニク、ベーコンをフライにします
4)水少々とインゲンを入れ、柔らかくなる迄煮込みます

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◆ライ麦パン ミッシュブロート

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ドイツで朝食からディナーまで食べられているポピュラーなパン

※材料
ライ麦 100g
小麦粉 500g
塩小さじ2
砂糖 ひとつまみ
イースト 小さじ2と1/2
水 400ml

※作り方
1)水 400ml、小麦粉500gとライ麦100g、イースト小さじ2と1/2と砂糖ひとつまみを混ぜ、ボールに入れる。
2)生地の真中に直径5cm穴を開け、人肌位の温度のお湯をいれて、暖かい場所に15分置く



3)ある程度生地が膨らんだら塩小さじ2を入れる。 
4)手でこねるか、ミキサーでかき混ぜてドウを作り暖かい場所に1時間置く。オーブンは180度に余熱しておく。
5)ローフ型に生地を成形し焼く180度のオーブンで30分焼く。


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◆チーズケーキ Kaesekuchen

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※材料
マーガリン250g
砂糖   250g
卵    7個
クリームチーズ 800g
コーンスターチ 100g
ベーキングパウダー 小さじ1
レモン汁 1個分

※作り方
1)マーガリン、砂糖、卵をミキサーで良く混ぜ合わせます
2)次にクリームチーズ、コーンスターチ、ベーキングパウダーを加え、レモン汁は生地が分離しない様少しずつ加えて行きます
3)ミキサーで15分から20分、ゆっくり生地を混ぜ合わせて下さい
4)オーブンは180度に余熱します
5)18cmから20cmの型を使用する場合は60分焼き、スティックで刺して生地がついてこないようなら完成です。

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◆クリームチーズのアペタイザー

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クリームチーズとオリーブオイル大さじ1から2杯、にんにくみじん切を混ぜてペースト状にします。パン等の付け合わせにも。



エッセイストの紹介
KUNKA


出版社勤務を経て現在フリーランスの編集者・翻訳者・カードライター。専門は映画・ドイツ語・語学学習など。月刊誌で映画紹介の記事などを手掛ける。IOさんに誘われてNiki's Kitchenを知り、斬新なメニューと先生方の温かい人柄にすっかりハマ
る。自国の食文化を食卓で表現し続けるNiki's Kitchenのスピリットを毎日の食生活に生かすべく奮闘中。趣味は日本のプロ野球観戦。左腕軟投系の投手に弱い