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第四十五回 「南仏プロヴァンスのブイヤーベース」 | ||||||
初台駅で待ち合わせをし、古き良き商店街を通り抜ける。すると、先生のご自宅である味のある日本家屋があらわれた。畳敷きのダイニングキッチンでフランス料理というのも乙なもの♪ 今回の生徒は8人。木製の調理代を囲んで行う料理教室は、昔の調理実習のようでなんだか懐かしい。 大学でフランス語を教えているというジャック先生は、来日9年ということもあって日本語がとても上手。でも、英語料理教室なので、基本は英語。先生は独特のユーモアがあって、常に笑いが絶えない。ある人がフランス版高田純次と言っていたのもうなずける。あの、つかみどころのないところが特に。(あ、先生、ごめんなさい。) ジャック先生は実際に先生をしているためか、本当に授業を受けてるみたい。というのは、先生がどんどん料理をすすめるのではなく、生徒にレシピを読ませたり考えさせたりするから、こちらも自然と授業に集中する。“What's next”と聞かれて答えられないと“Read recipe!”と叱られる(もちろん冗談で!)。 ここで、今回のメインディッシュであるブイヤーベースについて。私は家でも時々見よう見真似でブイヤーベースを作ったりするけど、これといったレシピもなく「魚介類と残り野菜のごった煮」状態。でも、実はこんな素敵な起源説があるらしい。 <英語料理教室Niki's Kitchenのホームページより> ブイヤーベースの起源は古代ギリシアまで遡ります。彼らは紀元前600年にフランス南部マルセーユをギリシア植民地として作りました。 当時はとてもシンプルな魚のスープでギリシア人は「kakavia(カカビア)」と呼んでいました。br> 「美の女神ヴィーナスは夫バルカンをなだめ、眠らせるためにブイヤベースを与えました。その間、恋人である火星の神マースと大はしゃぎして遊ぶことができました。」というようにブイヤベースはギリシア神話の中にも登場します。 プロヴァンスのブイヤーベースは港町マルセーユから伝えられたものです。フランスとイギリスで使われているブイヤベースという言葉はマルセイユの土地の言葉(オック語)で bolhabaissa[ブヤバイサ]からきました。漁師が獲ったばかりの魚をぶつ切りにして煮立て bolhir (to boil) 煮詰める abaissar (to reduce) の造成語だとされています。 作り方は地域によって異なります。マルセーユ地方ではレストランごとに味や違いが異なりすべての人が「自分のブイヤベース」が本物だと主張します。 こんな「美しい料理」を、本場南フランス出身の先生に教えてもらえるなんて、本当にラッキー♪ というわけで(?)、今回のメニューは以下の3品。 ・Aubergines
a la Provencale〜茄子のプロヴァンス風マリネ ソテーした茄子を、シェリービネガーとシャロットでマリネしたサラダ。 シェリービネガーというものを初めて知ったのだけれど、ワインビネガーよりまろやかな感じで、ツンとした酸味がなく食べやすく、茄子の旨味が引き立っていた。 ・Bouillabaisse〜ブイヤーベース 南仏プロヴァンスのブイヤーベース。たっぷりの野菜、魚の頭や海老などを煮詰めてダシをとった後、あえてそれらの具を濾して取り除き、残ったスープに魚の身、貝、海老などを加えて作る。オレンジの皮が入ることで、一気にプロヴァンスの香りに。ふわぁ〜。 野菜は濾さずに残してもいいらしいけど、濾した方が上品にスープの味を堪能できるかもしれない。 添えているパンには、手作りアイヨリソース(ガーリックマヨネーズ)を塗ってゴーダチーズをふりかけてあり、これがまた美味!ブイヤーベースにひたして食べるとまた格別なおいしさ。 ・Tarte
Cremeuse a L'Orange〜タルト クレムース ア ロランジュ クリーミーオレンジタルト。オレンジ果汁たっぷりのカスタードクリームをタルト生地に流して焼いた、何とも爽やかな焼き菓子。タルト生地にはヘーゼルナッツパウダーが練りこんであってとても風味がいい。男性の先生のためか甘さが控えめだったので、食後のデザートとしてもとても食べやすかった。 どの料理も、おしゃれでありながら、どこかホッとする味のフランス家庭料理。 食事はさっぱりとしたロゼワインとともに。デザートはコーヒーをハート型カップで。 おいしく、楽しく、Tres Bien!な一日でした♪
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エッセイストの紹介 | ||||||
夢兎氏 | ||||||
住まい・・・横浜市青葉区。 職業・・・公務員。 家族・・・IT企業に勤めるオットと2人暮らし。 趣味・・・旅行、ダイビング、マウンテンバイクなど。 |