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<映画紹介> |
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インドのとある寺院の記録映画です。ストーリーは一切なく、責任者や料理人へのインタビューもなく、池上彰みたいな人が登場して解説することもありません。その寺院はインド北西部のパキスタンと接するパンジャーブ州にあるハリマンディル・サーヒブ。シク教の総本山であり、人々には黄金寺院と呼ばれています。 この黄金寺院、見た目は金閣寺のように金ピカで成金趣味的にも見えますが、じつは500年以上も前から、参拝者に無料で食事が振る舞われています。毎日約10万人分の食事が用意され、そのために毎日約2300kgの小麦粉と、830kgの豆と、644kgの米を消費します。そして、ボランティアスタッフが調理や片付けを行っています。 映画では、食材が運び込まれるところからはじまり、大量の玉ねぎやニンニクを刻むたくさんの人々、巨大な鍋で刻んだ玉ねぎと豆でカレーを作る人、粉をこねて丸める人、丸めた生地を伸ばす人、伸ばした生地を鉄板で焼いてチャパティを作る人、食事をする人を入れ替えるために5000人を収容する食堂の床を水で洗い流して清掃する人、膨大な食器を洗う人、そして床に座って黙々と食事をする人々。カメラはそうした人々の姿を、淡々ととらえています。 日本で「同じ釜の飯を食う」というと仲間意識を高めるための食事という感覚ですが、この黄金寺院が同じ釜の飯を振る舞うのは、それとは少し違った目的があるように思われます。 インドは宗教が複雑で、それぞれの宗教が厳しい決まりを持っています。これは日本人にはなかなか理解できないところ。国民の80%が属するヒンドゥー教では、表向きは法律によって廃止されたカースト制がいまも根強く残っていて、カーストの低い人と同じ食卓につくことを好ましく思わない人がいます。 シク教自体は肉食を禁じてはいないノンベジタリアンですが、ランガルで出されるのは豆のカレー。豆は厳格なベジタリアンも食べられる食材なので、参拝者は異教徒であっても信者と同様に受け入れて食事を振る舞うというランガルの精神を反映したメニューなのかもしれません。
食事で平和をうったえる聖なるキッチンを、ぜひのぞいてみてください。 なお、この映画と連動して、様々なタイアップ企画があります。 ●渋谷文化村通り店の「神南カリー」では、キーマカリーに4種の豆とチーズを加え、オリジナルのチリソースで濃厚な辛味をプラスした「豆とチーズのキーマカリーパン」(240円・税込)を販売しています。 ●渋谷ヒカリエに9月25日にオープンする「TAKIBI BARKERY」では、ひよこ豆と数種類の香辛料で煮込んだカレーをサクッとした食感に仕上げたオリジナルカレーパン「チャナダール」(294円・税込)を販売します。 ●旅人舎×『聖者たちの食卓』公開記念として、黄金寺院のキッチンでのボランティア体験を含むインド聖地巡礼ツアーも。5日間で123,000円~。問い合わせ先:株式会社バイシャリトラベルズジャパン www.ryojinsha.in/slist.php?id=24039 ●渋谷アップリンクに併設されているカフェ・TABELAにて、タイアップメニューが始まりました。北インドのロビア豆のカレー、南インドのツール豆のカレー、インド風焼き野菜、マリネ、ライス、ドリンクなどをワンプレートにのせた南&北インドの豆カレーセット(1200円・提供は16時より)。インドワイン、インドビールと相性抜群です。 ●劇場(渋谷アップリンク、新宿K's cinema)の窓口では、公開前日の9/26までターリー(インドのお皿)付きスペシャル鑑賞券:1600円を販売しています。 監督:フィリップ・ウィチュス,ヴァレリー・ベルトー text/キヌガサマサヨシ(夏休み計画)
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