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『 マダム・マロリーと魔法のスパイス』 |
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舞台は南フランスの美しい小さな田舎町。そこにある日、突然、インド料理店がオープンし、その町で古くから格式高いレストランを営んできたプライドの高いマダムと騒動を起こすというストーリーです。 インド料理店を開店させたのは、少し前までロンドンでインド料理店を営んでいたインド人の家族。ロンドンでトラブルに巻き込まれて店を続けられなくなり、絶望の淵に追い込まれた家族は、家財道具をワゴンに積み込んで、放浪の旅に出ます。そしてたまたま車が故障した南仏の田舎町で、レストランにぴったりな空き家のメゾンと出会います。 しかし、そこはミシュランの星を持つ老舗のフレンチ・レストランのお向かいだったのです。町はずれの他には何もない場所に、向き合って建つ2つの店。嫌が上にも緊張感が高まります。美しい自然に囲まれた静かな環境も我が物として愛していたマダムには、向かいのインド料理店から漂ってくる異国の個性的なスパイスの香りも、騒々しい民族音楽も、迷惑なものでしかありませんでした。洗練されていない発展途上国の文化を軽蔑し、邪魔な新参者を追い出そうと市場の食材を買い占めるなど嫌がらせをするマダム。 ただ、芽生えたのは対立だけではありませんでした。インド人一家の中で、もっとも料理が得意な次男ハッサンは、お向かいのフレンチ・レストランで働く若い女性コックに思いを寄せるようになります。 そんなハッサンには、子どもの頃から料理上手な母のそばにくっついて母の仕事を見ていたため、知らず知らずのうちに料理の基礎が身に付いていました。それはインド料理に限らず、すべての料理に通じる「基礎の基礎」でした。そのため、ハッサンはお向かいの女性コックに借りたル・コルドン・ブルーの料理本を見ただけで、一流シェフも顔負けの料理を作ることが出来てしまうのでした。 ハッサンのその卓越した才能が、いつしかマダムの凍てついた心を溶かし、ハッサンとその家族を奇跡へと導きます・・・。 スクリーンには、インド料理、伝統的なフランス料理、液体窒素やエスプーマを駆使した最先端の料理、スパイスを取り入れたヌーベルでモダンなフレンチと様々な料理が登場します。 ここ数年、日本で公開された料理をテーマにした映画は、その多くがインドものでした。インド映画が食べ物系ばかりというわけではないのに、なぜフーディーなムービーといえばこうもインド系なのかと思っていましたが、それだけ世界的にインド料理が注目されているということなのでしょう。 映画の後半に、ハッサンがフレンチのソースにスパイスを加えるシーンがあります。 また、この映画は、世界が民族や国籍や宗教という壁を越えて異文化を受け入れなければならない時期に来ていることを教えてくれています。伝統は伝統として守りつつ、伝統だけに固執せずに様々な要素をミックスして新しいステージに進むべきときだと。 原作はアメリカのベストセラー小説「The Hundred-Foot Journey」です。 なお、この映画に関連して設けられたル・コルドン・ブルーのスペシャルサイト
また、インド料理の「ムンバイ」では、映画の中でハッサンがマダムのために作ったオムレツにインスパイアされた「魔法のスパイス・オムレツ」を特別メニューとしてディナータイムに提供しています。540円(税込)。丸の内店/銀座店のみ。さらに、ハッサンが母の思い出の味と語るインド菓子「ジャレビ」を、劇場鑑賞券の半券持参で下記の店舗でお食事をされた方に無料でサービスしています。対象店舗:九段店(本店)/丸の内店/銀座店/渋谷ヒカリエ店/みなとみらい店。このタイアップは、ともに11月30日(日)まで。
監督:ラッセ・ハルストレム text/キヌガサマサヨシ(夏休み計画)
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