メキシコではルシオの叔母さんの代まで、独特の因習が守られてきました。それは末娘は結婚をせず、つねに台所にいて料理をつくり、母の死を看取るまで面倒をみなければならないというもの。嘘のような本当の話。一昔前のメキシコでは童話シンデレラに出てくるような大きな台所で結婚を封じられた娘さんが悶々と料理を作り続ける。そんな風景がごくごく当たり前だったようです。メキシコではそんな現代の御伽ばなしがたくさん息づいています。今日、日本に存在する多くのメキシカンレストランはアメリカ人が「メキシコっぽい料理」として生み出したTEX-MEX(テキサス風メキシコ料理)が主流で本来のメキシコ料理とは程遠いものです。だって本来のメキシコ料理は、上で書いたとおり、もっと悶々と作られてきたお料理ですから。ひとつのお料理を2-3日かけて数十品目の材料を入れ込んで作ることは極々普通のこと。これを商業的にそして日本の家庭で再現するのもとっても難しい。ルシオのクラスでは日本ではまず知ることの出来ないメキシコの本当のお料理、本物の料理文化を体験することができます。
そんな摩訶不思議なメキシコの古い風習を垣間見れるのが1992年に公開されたメキシコの映画、「赤い薔薇ソースの伝説」(TUTAYAで借りれます)今回はこの映画のお料理をクラスで行いました。ところで映画の原題はCOMO AGUA PARA CHOCOLATE。直訳すると「チョコラーテのためのお湯のように」●パッションクラスはテーブルデコレーションも薔薇で統一されました(写真上)●
「チョコラーテのためのお湯」?ん?メキシコでも赤い薔薇ソースの伝説という名前で上映されているとおもってた。そんな話聞いてないぞ!調査調査。チョコラーテは1570年代メキシコで生まれたアステカ流チョコレートドリンクの総称です。次第に一番美味しい飲み方はお湯でチョコを溶かし(湯せんにかける)砂糖を加える方法が編み出されました。チョコレートは沸騰させれば風味が飛んでしまいます。60度でじっくりと煮込むことにより最高の味が引き出されるそうです。結婚を許されなかったティタの恋はまさに60度でじっくりと煮込まれる感覚。最高温度まで熱することがないから恋の風味も飛ばない。そう考えると末娘も悪くないかも?(いやカンベン...)
。今回使用した赤い食用薔薇は南アルプス、マーベラスローズ農園で栽培しているものを使用しました。日本で一番美しい真っ赤な食用薔薇。フルアンジュールという高価で上品な薔薇ジャムの原料となっているものです。収穫は通常3月〜12月。2006年度は植え替えのため5月〜12月の出荷予定です。。また配送するのに一番適した時間朝の4時から5時に花摘みを行います。今回はその愛情のいっぱいつまった食用薔薇とその薔薇から作られるジャムを使ってお料理をしました。(販売元:株式会社ヴェルデ(TEL:03-5465-2513))。箱にたっぷりと入った食用薔薇は3000円前後で購入が可能です。