こんにちは、IOです。私は雪が積もっているのを見たことがないのよ。リナはプエルトリコで生まれて10歳の時にフロリダに移住したそうだ。南国生まれの南国育ちで日本に来るま でそれ以外の所には住んだことがない。だから長女のタイシャによると’日本は 寒すぎる!’らしい。

プエルトリコってどんな所?って聞くと、フロリダから飛行機で2時間くらいで、 きれいな海があってあちこちから音楽が聞こえてきて、 ココナツなんかで作るクラフトをいろんなところで売っていて、道ばたの屋台で今日作るpinonをよく売ってるわね。オールドサンファンという所に行くと昔の建 物がたくさん残っていて建物の色がいろんな色ですごくカラフルなの! なんか楽しそうなところだな〜


第二十二回 池子で体験するプエルトリコ  

 
     



プエルトリコ料理で使う食材はグリーンバナナ、ユカ、グアバペースとなど、コ ロンビア料理で使う食材によく似ている。あとはgoyaというブランドのスパイス をたくさん使うようだ。

今日のメインは屋台でもよく売っているというPinon。 このお料理に欠かせないのはグリーンバナナ。今まで習ったグリーンバナナのお 料理はその名の通りグリーンのものを使っていたけれど、今日はそのグリーンバ ナナが熟して黄色くなってから使うという。 リナはオーブンからグリーンバナナがたくさん入った大きな紙袋を取り出した。 こうやっておくと早く熟すのよ。 キッチンカウンターに並べるとちょっと大きめだけど普通 のバナナに見える。で もこれはあくまで料理用、加熱して食べるものだ。煮込んでもそう簡単には崩れ ないし、食感も普通のバナナとは大分違う。 まずそのバナナの皮をむいて、長さはそのまま残して厚みを3等分に切る。横に ナイフを入れていくのだが、慣れないとちょっと難しい。だってこんな風にバナナを横に切ったことないし。

次はインゲン。こちらも上下をちょっと切り落として長さはそのままで横に半分 にスライス。それから塩ゆでする。 そしてフィリングとなる’Picadillo'を作る。

まずニンニクをつぶすのだが、木でできた専用の容器に入れてすりこぎのような 木の棒でたたいてペーストのような感じにつぶす。スパイスをつぶす大理石の道 具を見たことがあればそれが木製になったような感じで、プエルトリコでは必ず 家庭にあるそうだ。

これをフライパンで炒めて大量の牛挽肉、みじん切りのたまねぎ、ピーマン、コ リアンダー、レーズンを加え、トマトソース、sazonスパイス、adovoスパイスで 味付けをする。あとで型に入れて崩れないようにするために汁気を飛ばすことが 重要だそうだ。これがpicadillo。

先ほどスライスしたバナナはたっぷりの油を入れたフライパンで両面にこんがり きれいな色がつくまで揚げてペーパータオルの上にのせて油を切っておく。 Pinonは型に入れてオーブンで焼いて最後に引っくり返して型からはずす。その時 に形が崩れないできれいに引っくり返せるようにメレンゲを使う。まず卵白6個 を固く泡立てる。

Pinonは普通丸い鍋で作るらしいが、今日は適当な大きさのものがなかったので長 方形のパイレックスを使用。後で引っくり返しやすいようにまず全体にオイルを 塗る。ここでしばしリナが考えている。

何を考えているのかと思ったら、’これ はパズルみたいなのよ。まず底にすきまができないようにバナナを並べるの’ 端から細長いバナナをきれいに隙間ができないように並べる。その上にpicadillo の半量をしきつめ、全体に軽く押し付ける。その上に今度はシュレッドチーズを 全体に敷きつめ、さらに上にインゲンの半量をしきつめる。ここでさきほど作っ たメレンゲの半量を全体にのばす。

これが全体の形をしっかりさせるのに役立つ。そしてその上にまたpicadillo,イ ンゲン、チーズ、最後にまたパズルのように隙間なくバナナを並べていく。 ここで今度は残った半分のメレンゲに塩ひとつまみを入れ、泡立てながらすこし ずつ卵黄を加えていくと、薄い黄色のメレンゲができあがる。これは卵黄を使わ ず卵白だけの場合は塩でなく砂糖をひとつまみ入れるそうだ。

これでしっかりと 固いメレンゲになり、Pinonが崩れないようにしてくれる。これをバナナの上にま んべんなく敷き詰め、さらにパイレックスと生地の間にナイフを入れて隙間を作 り、その隙間にも全体にこのメレンゲを入れていく。 これをオーブンで20分ほどメレンゲにきれいな焼き色がつくまで焼く。

焼き上がったらパイレックスと生地の間に全体にナイフを入れてからパイレック スの上に大皿を乗せて引っくり返す。パイレックスからきれいに生地が離れたら できあがり!

今日のもう一皿はSpanishRedKidneyBeans。金時豆をトマトベースで煮込んで それをご飯にかけて食べる。これも缶詰の豆を使えば簡単にできるけれど、’や っぱり乾燥豆を水につけておいて戻して使った方がおいしいのよ’、と、きちん と手間をかけて作った。

ダイニングは濃いブルーで揃えたお皿と白いナプキンが既にきちんとセットされ ていてレストランのよう。

早速Pinonを切り分けて、ご飯にRedKidneyBeansをかけたものを添えていただく 。 Pinonはほんのり甘いグリーンバナナとトマトやスパイス風味のPicadilloが絶妙 なコンビネーション。リナはグリーンバナナの味について’普通のバナナと違っ てグリーンバナナは甘いけれどその中にちょっとbittertasteがあるのよ’と言 う。私はどうもこれがよくわからなかったのだけれど...bitterって日本語では単 純に‘苦い’と訳してしまうけどそれでは表現できない微妙なニュアンスがある のかもしれない。RedKidneyBeansも一緒に煮込んだセロリやハムのうまみがし み込んだ豆とご飯がとてもよく合う。

ここで一つ疑問が...リナはPinonを屋台で売っていると言ってたけど、屋台でこ んなに手がかかるものを作れる??リナによると’今日はおもてなし用に見た目 もきれいにしているけれど屋台ではバナナもマッシュしちゃって具がもう全部混 ざっちゃってるのよ。’ なるほど。

デザートはStrawberryPretzelDelight。小さいプレッツェルを砕いてそれをク ラストにし、その上にバニラプディングを流し入れ、その上にイチゴのパイフィ リングを乗せたデザート。プレッツェルのような塩味のものをクラスト??と不 思議だったけどこれが違和感なくフィリングにマッチしている。

実はこのバニラ プディリングに生クリームを入れるのをリナが忘れてしまって、かなり甘〜いデ ザートだった。(リナは’そんなに甘くない’と言っていたけれど...)

そして最後に私がすご〜く気になっていたプエルトリコ風コーヒー。なんたって コーヒーに塩だ。どうしてもその味が想像できない。実際のところ砂糖と塩の両 方を入れるけれど塩の量はほんとに少しだけ。飲んでみると塩の味は感じられな いが、なぜか普通のコーヒーとはすごく違う感じがする。’これってすいかに塩 をかけるのと同じような感じかしら’という意見が出たが、まさにそんな感じだ と思う。砂糖の甘さをひきたてるための塩、でも決して甘過ぎるわけではなくす ごく優しい甘さでとても私は気に入ってしまった。

今回のお料理はグリーンバナナやgoyaブランドのスパイスなど日本では手に入り にくい食材を使っていて、実際のところ家で再現するのはちょっと難しい。

リナ は’とりあえずプエルトリコの本物の料理を味わってほしいと思っているの。そ れから何か代用できるものを考えてもいいと思うわ。実際私もgoyaスパイスミッ クスを使わずに、ラベルに書いてある原料のスパイスを見てそれを入れて試した らうまくいったわよ。

グリーンバナナもスーパーで小さいグリーンのバナナを見 たことがあって今度それで実験してみようと思っているのよ。小さい容器を使っ て一人分ずつ作ってみようかと思って。

 グリーンバナナが簡単に手に入るよ うになればそれが一番いいのだけれど、考えてみれば以前はアボカドやルッコラ だってそう簡単には手に入らなかったし、何年かたてば近所では無理としても扱 う店は増えてくるかもしれない。 さてリナクラスで忘れてはならないのは子供達の存在。彼等抜きでは料理クラス は成り立たないかもしれない。まずタイシャがゲートから家まで案内をしてくれ た。タイシャはちょっとホームシックのようで心配だけど、リナによるとタイシ ャは日本語クラスを取っているそうだ。’いつもこっちに来てちょっと練習して みたら、って言うんだけどシャイなのよ’ということなので、参加される皆さん 、ぜひタイシャに簡単な日本語で話しかけてあげてください! ジョーイは参加者の子供たちの面 倒を見てくれている。今回はバニラプディング のフィリングが足りなくてそれも途中で買いに行ってくれた。彼は子供の面 倒を 見るのが上手なようで、今回参加したお子さんは’帰りたくない’と泣いていた くらい。

最後にはリズが’今日は寒いから車で送るわ’とわざわざ来てくれた。こういう ところも居心地の良さにつながって池子クラスの人気の秘密の一つなのかもしれ ない。 そうそう、リナは近々苗場にスキーをしに行くそうなので、ぜひ’積もった雪’ の感想を聞いてみて下さい!


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本日のレシピ (レシピ:IO)

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◆Spanish Red Kidney Beans
(スパニッシュレッドキドニービーンズ)
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●材料●
レッドキドニービーンズ 1/2袋

コリアンダー
セロリ 1本
たまねぎ 1個
ピーマン 2個
トマト 1個
ニンニク 1片
ハム 大きめのハムステーキ用1枚
sazonスパイス 1袋
トマトソース缶1缶(225g)
グリーンオリーブ 10個くらい


●作り方●
1)キドニービーンズは1時間以上水につけておき、水 を切る。

2)セロリは4、5センチくらいに切る。タマネギ半分、ピーマン1個、ニンニク1片はみじん切りにする。 ハムステーキ半分は1.5センチ角くらいに切る。

3)圧力鍋に1、2、アドボスパイス1袋を入れ、たっぷ りの水(豆の量の高さの2倍くらい)を入れて20分加熱。

4)残りのタマネギ半分、ピーマン1個、トマト1個を みじん切りにする。ハムは1.5センチくらいの角切り。 フライパンに油を入れてハムを炒めて、タマネギ、ピー マンを加えて炒め、トマトも加える。オレガノ、塩少々 トマトソース缶も加える。グリーンオリーブも適当な 大きさに切って加える。

5)圧力鍋に4を加える。sazonスパイス1袋を加え、豆 が柔らかくなるまで、20分ほど煮てできあがり。 米にオリーブオイル少々、塩少々を加えて炊いたものに かけて一緒にいただく。


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Pinon de Amarillos(ピノン)
(Picadillo, Ripe Plantains & Vegetable Casserole)

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●材料●
牛挽肉 680g
グリーンバナナ 6本(黄色く熟したもの)
いんげん 450g
シュレッドチーズ  チェダー、モッツァレラなど
卵 6個
オリーブオイル 大さじ2
ピーマン 2個(グリーン、赤などお好みで)
たまねぎ 1個
ニンニク 2個
コリアンダー みじん切り1/4カップ
Sazonスパイス 1袋
レーズン 半カップ
トマトソース 大さじ2
塩、コショウ 適宜

●作り方●  
1)いんげんの下処理をする。(上下を少し切り、長さは そのままで厚みを半分に切る)バナナは皮をむいていんげ ん同様長さはそのままで厚みを3等分にスライスする。 いんげんはゆでておく。 たまねぎ半分、ピーマン2個はみじん切り。コリアンダーは ブレンダーにかけて細かくしておく。

2)ニンニクはもしあればスパイスを潰す容器でよく潰す (ペーストに近いような状態になるまで)

3)フライパンに油を入れ、ニンニクを少し炒めてから たまねぎ、ピーマンを加えて炒める。トマトソース缶 、 レーズン、塩、コショウ、saszonスパイス、adovoスパイ スを加える。挽肉を加えてよく炒め、オレガノ、コリアン ダーも加える。30分ほど加熱して汁気を飛ばす。(後で 型からはずした時に崩れないよう汁気をしっかり飛ばすこ と)これがpicadilloです。

4)フライパンに油を多めに入れて、グリーンバナナを 崩れないようにそっと並べて入れ、両面 きれいな焼き色が つくまで揚げる。両面きれいな色がついたら崩れないよう 注意して取り出し、ペーパータオルなどの上に並べて 油を切る。(油は揚げ物の要領で熱くすること)

5)ボウルに卵白を入れてしっかり泡立ててメレンゲを作 る。

6)キャセロールにオイルをまんべんなく塗る。(後で 型から出しやすいよう、塗り残しがないようにする) まずバナナを隙間のないように全体に並べる。その上に picadilloの半量をまんべんなく敷き詰め軽く押し付ける。 その上にシュレッドチーズを敷きつめ、さらにいんげんを 並べる。その上にメレンゲの半量 をまんべんなく乗せる。 その上に残りのpicadillo、インゲン、チーズの順に乗せて いき、全体に隙間なくバナナを敷き詰める。

7)残ったメレンゲの半量に塩ひとつまみを加え、ホイッ プしながら卵黄をすこしづつ加える。この卵黄入りの メレンゲを6の上に敷き詰める。さらにキャセロール容器 とpinonの間にナイフを入れて隙間を作りそこにもメレンゲ を入れる。pinon全体の回りとキャセロール容器の間にメレ ンゲが入るようにする。(こうすることで最後にきれいに 容器から離れる。)

8)325度のオーブンで15分ほど焼く。メレンゲに 焼き色がつくまで焼いたら取り出し、5分ほど置いてから キャセロールの上に皿をさかさまに乗せてキャセロールを 引っくり返す。切り分けていただく。


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エッセイストの紹介
イオ
(プロフィール)
IO

横浜在住。 おいしいものを食べることと料理が大好き。 一人暮らしのため実は普段はほとんど料理しないけど たまに友達呼んで前菜からデザートまで作って食事会を するのが楽しみ。旅行しておいしいもの食べるのも大好きだけ どNiki'sはなかなか行けないような南米などの国のお料理が食 べられるので貴重です。